さよならをもう一度
平凡な生活の中にある女性の幸福を描いた恋愛ドラマ。F・サガンの小説『ブラームスはお好き』の映画化で、監督のリトヴァク自らのプロダクションでフランスで撮影された。トラック販売会社の重役ロジェ(モンタン)と5年越しのつき合いの室内装飾家のポーラ(バーグマン)は、なぜか未だに結婚に踏みきれないでいる。ロジェには他にも遊び相手がいるようで気を揉むポーラだが、互いに束縛しないという不文律が二人の間にあるため、あからさまに嫉妬を表にも出せない。そんな時、ロジェから紹介された取引先のアメリカ人の一人息子フィリップ(パーキンス)の若い情熱にほだされ、彼との同棲生活に入るのだが……。だいぶダラダラとしたメロドラマだが、母性本能をくすぐる青年の一途さをパーキンスがよく表現し、フラれて雨の中を一人立ちつくす場面などは実に絵になっている。原作題通り、ブラームスの交響曲第三番、第三楽章の甘美なメロディが様々なアレンジで効果的に場面を繋いでゆく。(allcinema)
1961年 アメリカ原題:GOODBYE AGAIN
監督: アナトール・リトヴァク
原作: フランソワーズ・サガン
脚本: サミュエル・テイラー
音楽: ジョルジュ・オーリック
出演: イングリッド・バーグマン イヴ・モンタン アンソニー・パーキンス
ジェシー・ロイス・ランディス ダイアン・キャロル ジャッキー・レイン ミシェール・メルシェ
高校生の頃に、サガンの作品にハマったことがあって、
これも読んだはず、と書棚を探してみたけど見つかりませんでした。
でも、サガンの匂いがするストーリーでした。
イングリット・バーグマンは、この頃46歳くらい。
若いころとは違う大人の女性の魅力を、存分に発揮しています。
「I'm old,I'm old!」 と去って行く若いフィリップに叫ぶシーンは、
老いることを受け入れなければいけない、
多くの女性の哀しい叫びと重なりました。
たとえバーグマンだとしても、それは同じだったかもしれない…。
物語と現実が重なるようでした。
主役のポーラは、インテリアデザイナーとして働く、バツ一の女性。
ロジェと言う恋人もいて、申し分のない生活に見えます。
仕事が終わって部屋に戻り、お風呂に入って着替えを済ませ、
ロジェとのディナーに出向く。
なんとお洒落な大人の恋愛でしょう。
ふたりとも一度失敗してるから、結婚には縛られない。
でも、ポーラには少しだけ不安が…。
出かける前にかかってくる電話。
それは決まって“仕事”を理由にデートを断るロジェからのもの。
好きだけど嫌い。
それでも離れられない。
フィリップの出現で、ふたりの関係が大きく変わって行きます。
イブ・モンタンの男として危険な魅力が、
画面から溢れ出そうです。
大人の男だわ~と惚れ惚れ。
こういう男を好きになったら、心休まることはないのかもしれない、
そう覚悟する必要があるのかもしれませんね。
舞台はパリ。
原作者はサガン。
大人の恋を切なく描いた作品です。