正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官

イメージ 19.11テロ以降ますます複雑化・深刻化しているアメリカの不法移民問題ハリソン・フォード主演で描く社会派群像ドラマ。I.C.E.(移民税関捜査局)捜査官の主人公が職務と良心のはざまで苦悩を深めていく姿を通して、不法移民たちの置かれた過酷な現状と移住をめぐる様々な問題をリアルに描き出す。監督は南アフリカ出身で、自身もアメリカでグリーンカード(永住権証)を取得した“移民”でもある「ワイルド・バレット」のウェイン・クラマー
 ロサンジェルスでICEの捜査官として働くマックスは、密入国不法就労者の取り締りに当たりながらも彼らにしばしば同情的で、同僚からも呆れられるほど誠実な男。そんなある日、メキシコ人女性ミレヤが不法就労者の一斉摘発で捕まり、アメリカ生まれの幼い息子ホアンを残して強制退去に。それに心を痛めたマックスは、ホアンを捜し出してミレヤの実家まで送り届けるが…。女優を目指すオーストラリア出身のクレアは、グリーンカードの判定官コールと出会い、ある提案を持ちかけられ…。バングラデシュ出身の高校生タズリマは、9.11についての発言が問題視されICEとFBIの強制捜査を受けてしまい…。ある日、マックスの相棒でイラン出身の捜査官ハミードの妹ザーラの死体が発見される。独自に捜査を進めるマックスは、やがて思いも寄らぬ事実に突き当たるが…。(allcinema)
 
2009年 アメリ
原題:CROSSING OVER
 
アメリカを守る正義か。
人々を救う正義か。
 
 
監督: ウェイン・クラマー 
脚本: ウェイン・クラマー 
音楽: マーク・アイシャム 
音楽監修: ブライアン・ロス 
出演: ハリソン・フォード マックス・ブローガン
    レイ・リオッタ コール・フランケル
    アシュレイ・ジャッド デニス・フランケル
    ジム・スタージェス ギャヴィン・コセフ
    クリフ・カーティス ハミード・バラエリ
    サマー・ビシル タズリマ・ジャハンギル
    アリシー・ブラガ ミレヤ・サンチェス
    アリス・イヴ クレア・シェパード
    メロディ・カザエ ザーラ・バラエリ
    ジャスティン・チョン ヨン・キム
    メリク・タドロス ファリード・バラエリ
 
 
同じように移民を描いた【扉をたたく人】とは、違った側面を描いています。
 
ハリソン・フォードは、確かにメインの移民税関捜査局の捜査官を演じていますが
彼はエピソードのひとつにしかすぎません。
 
彼が摘発した移民の女性と、幼い息子の話。
彼の相方の、イラン出身の捜査官一家の話。
それとは別の、
オーストラリアから女優を目指してやって来た女性と、
彼女の恋人のユダヤ人の話。
バングラデシュ出身の女子高校生一家の話。
韓国出身の一家の話。などなど…。
 
 
正規に帰化していたり、アメリカ生まれだったりする者と、
観光ビザで仕事をしようとする不法就労者や、密入国者。
そこに存在するのは、たった一枚の紙の重さなのです。
 
市民権やグリーンカード
たった一枚の紙ではあるけれど、それで得られる自由は大きい。
 
9.11事件の実行犯に対して、「犯人は人間扱いされるべき」
と発言する女子高校生。
その後、彼女は危険分子として強制送還されることになります。
 
他のどのエピソードより辛かった…。
10代の潔癖な心がそう言わせたんでしょうが、
その言葉は被害者の耳には届きません。
 
家族がバラバラになるシーンは、自業自得だとしても辛かったです。
 
自由の国アメリカ。
人は希望を求めてそこへ渡ります。
自国では掴めない幸せを求めていたはずなのに、
何かを間違ってしまった。
 
たくさんのエピソードの中で、
正規の手続きを獲れた者たちがいることが救いでした。
 
人生は、どこか不公平なものなのかもしれませんね。
 
 
まったく未知の内容だったし、
ひとつずつを淡々と積み重ねた作品だったので、
心に沁みていくものがあったわけではないけど、
こういうことが現実に起きているんだと知ることはできました。
 
 
日本では考えられない状況だけど、
このまま少子化が進むと、
外国からの移民を受け入れる日が来るかもしれませんね。
 
そんなことを感じさせてくれる作品でした。