画家と庭師とカンパーニュ

イメージ 1「クリクリのいた夏」「ピエロの赤い鼻」のジャン・ベッケル監督が、穏やかな光に包まれた牧歌的なフランス・カンパーニュを舞台に、中年男2人の友情と人生を詩情豊かに綴るヒューマン・ドラマ。主演は「八日目」「メルシィ!人生」のダニエル・オートゥイユと「ロング・エンゲージメント」「サン・ジャックへの道」のジャン=ピエール・ダルッサン。
 都会生活に疲れ果て、生まれ故郷カンパーニュの屋敷で田舎暮らしを始めた中年の画家。何年も放置された庭を手入れするため庭師を雇うことに。その求人広告を見て屋敷にやって来たのは、なんと彼の小学校時代の同級生だった。仕事への情熱を失い、妻とも離婚調停真っ只中の画家とは対照的に、地元に腰を落ち着け、勤めていた国鉄を退職して念願の庭師の仕事を始めた彼は、愛する家族たちと慎ましくも満ち足りた生活を送っていた。そんな2人はすぐさま意気投合、昔の思い出やこれまでの人生を尽きることなく語り合い、いつしか互いにかけがえのない存在になっていくのだが…。(allcinema)
 
2007年 フランス
原題:DIALOGUE AVEC MON JARDINIER
    CONVERSATIONS WITH MY GARDENER
 
君が 僕の枯れた心に蒔いた
しあわせの種。
 
 
監督: ジャン・ベッケル 
原作: アンリ・クエコ 
脚本: ジャン・ベッケル ジャン・コスモ ジャック・モネ 
出演: ダニエル・オートゥイユ 画家(キャンバス)
     ジャン=ピエール・ダルッサン 庭師(ジャルダン)
     ファニー・コタンソン エレーヌ
     エロディー・ナヴァール キャロル
     アレクシア・バルリエ マグダ
     ヒアム・アッバス 妻 
 
ダビングしたまま、ずっと温めていた作品です。
休みの午後に観るには、あまりに穏やかな前半は眠気を誘います。
けれど、大人のドラマをじっくり見せてくれます。
 
故郷へ帰って来た画家は、庭師としてやってきた友人と再会。
故郷を離れていた画家にとって、庭師が話すことは懐かしいことばかり…。
でも友人たちの名前も、すっかり忘れてしまっている…。
「自分はずっとここにいるから」
庭師の言葉は、転校を繰り返した私への言葉みたいに響きます。
 
 
お互いを“画家””庭師”と呼び合い、それぞれの役目を果たす日々は、
大きな変化もなくて退屈な感じすらします。
 
でもこのあたりでふたりの関係はしっかり築かれていくので、
後半にふたりの間に起こるある事件をきっかけに、
画家の表情や態度が変わって行くのが理解できるのです。
 
都会からやって来て、芸術を理解しない旧友のことを
どこかしら見下していた感のある画家ですけど、
その事件が彼を変えて行くのです。
 
離婚の危機だった妻との関係。
30歳も年上の彼氏を連れてきた娘との関係。
 
そして、自身が描く絵すらも変えて行くのです。
 
 
気の合う友人との時間は、何物にも代えがたい。
そう思える人との出会いは大切にしなくちゃ…。
 
 
自分で耕すのは面倒だけど、
こんなに腕のいい庭師がいるなら、我が家の庭にも菜園を作るのに…(^^ゞ
なんて思うくらい、立派な菜園が出来上がります。
 
きっとずっと育ち続けるんでしょうね。
人との関係と同じように…。
 
心に沁みる作品でした。