ザ・タウン (2010)

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チャック・ホーガンのハメット賞受賞のミステリー『強盗こそ、われらが宿命』を、「ゴーン・ベイビー・ゴーン」に続いてこれが監督2作目となるベン・アフレックが自ら主演も兼任して映画化した犯罪ドラマ。強盗を家業とする主人公が、ある女性を愛したばかりに仲間との絆の狭間で葛藤を深めていくさまと、追及の手を緩めないFBIとのスリリングな攻防を緊張感あふれるタッチで描き出す。共演はジェレミー・レナーレベッカ・ホールジョン・ハム
 全米屈指の強盗多発地区、ボストンのチャールズタウン。この街に生まれ育ったダグは、かつては輝かしい将来を夢見ていたものの、今では父親と同じ道を進み、気心の知れた幼なじみたちを率いて銀行強盗を繰り返す日々。毎回周到な準備で鮮やかに仕事をやり遂げてきた彼らだったが、ある時、やむを得ず一時的に人質を取って逃走を図る。しかし、解放した女性クレアが、同じ街の住人だったことから、自分たちの正体に気づかれたかもしれないと不安がよぎる。そこで探りを入れるため、偶然を装い彼女に近づくダグ。しかし、不覚にも恋に落ちてしまう。やがて、FBI捜査官フローリーの追及がダグへと迫る中、足を洗ってクレアと新たな人生に踏み出したいと考え始めるダグだったが…。(allcinema)
 
 
2010年 アメリ
原題:THE TOWN
 
監督: ベン・アフレック 
製作: グレアム・キング  ベイジル・イヴァニク 
製作総指揮: トーマス・タル  ジョン・ジャシュニ  ウィリアム・フェイ  デヴィッド・クロケット 
原作: チャック・ホーガン  『強盗こそ、われらが宿命』(ヴィレッジブックス刊)
脚本: ベン・アフレック  ピーター・クレイグ  アーロン・ストッカード 
撮影: ロバート・エルスウィット 
プロダクションデザイン: シャロンシーモア 
衣装デザイン: スーザン・マシスン 
編集: ディラン・ティチェナー 
音楽: デヴィッド・バックリー  ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ 
出演: ベン・アフレック ダグ
    ジョン・ハム フローリー
    レベッカ・ホール クレア
    ブレイク・ライヴリー クリスタ
    ジェレミー・レナー ジェム
    タイタス・ウェリヴァー ディノ
    ピート・ポスルスウェイト ファーギー
    クリス・クーパー ビッグ・マック
    スレイン グロンジー
    オーウェン・バーク デズモンド
    コレーナ・チェイス 
    ブライアン・スキャンネル 
    デニス・マクラフリン 
    ヴィクター・ガーバー 
    (クレジットなし)
 
さて…。
これはどう評価するべき作品でしょうか。
 
こういうジャンルは好きです。
ただ、やり切れなさが残り、決して爽快感を得ることはないので、
そういう意味で覚悟がいる作品ですけど、
かなりレベルの高い仕上がりなのではないでしょうか。
 
 
銀行強盗が多く、それが父から子へと受け継がれる“家業”となっている街で、
やはり銀行強盗を繰り返すダグ。
 
銀行の支店長・クレアを人質にとり、その後彼女を監視するうちに惹かれていく。
それは危険な空気を感じました。
監視から愛情へ。
そうなるべくふたりの距離は縮まっていきました。
 
犯罪に加担する人間にとって、その外側にいる人間は“爆弾”になりかねない。
決まり切った展開に、ダグもハマっていきます。
 
元々アイスホッケーの選手で、終身刑の父親とは違った道を歩いていたダグが、
クレアとの普通の生活を望むようになっていくのも仕方ない。
犯罪とは無関係な自分を望んでも仕方ない。
そのために街を出たい。
 
ダグの思いとは裏腹に、
仲間のジェムや、その妹でダグを慕うクリスタは、決してダグを手放そうとはしないのです。
ダグの腕を買っている、元締めはクレアを縦にとって仕事をさせようと迫ります。
 
クレアとクリスタ。
ダグの人生にふたりの女性が絡み合います。
どちらの女性も、ダグを愛しているから哀しい…。
 

人は、家族も環境も選んで生まれることはできません。
背負った運命を断ち切ることは難しい。
抗うことはできないのか…。
そう思うことはあっても、やはりダグ達は犯罪者です。
決して明るい未来があるはずがないのです。
 
そう分かっているので、ラストのFBIとの激しい銃撃戦は、
行きつく先が見えて重苦しい。
 
ジェムの最期は、息を呑むほどの迫力でした。
このジェム。
単純で短気で、絵にかいたような悪党です。
きっとこいつが絡むだろうな~と予想がつくし、
女性たちの絡み具合も、ある意味サプライズのない展開が続きます。
 
なので、演じた役者の力で底上げしている感じです。
ジェレミー・レナー、良い味出てるぞ…!
 
主役のダグだけが、いい奴になっちゃったか?
都合良すぎないか?犯罪者なのに。と思ったんだけど、
 
“いつか会える。ここか来世か”の台詞で少し落ち着きました。
 
決してハッピーエンドではない。
個人的には、犯罪者を擁護してはいけないと思うので、このラストで精いっぱいかな。
 
お決まりのカーアクションは、カメラの位置が低くて、
物凄いスピード感を感じたし、
銀行強盗のシーンは手に汗握ったし、見応えはありました。
こういう作品をどう評価するか…。
言葉で評価するのが難しい1本、と言えるかもしれません。