月に囚われた男

イメージ 1
地球に不可欠なエネルギー源を採掘するという3年契約の仕事に従事するため、たったひとりで月へと旅立った宇宙飛行士が、あるアクシデントを境に不可解な現象の数々に苛まれていくさまをサスペンスフルに描いたSFミステリー。主演は「コンフェッション」のサム・ロックウェル。監督はロック・スター、デヴィッド・ボウイの息子ダンカン・ジョーンズ。長編デビューとなった本作で新人監督賞をはじめ多くの賞に輝いた。
 近未来。エネルギーの枯渇した地球は、新たな燃料源が存在する月へその希望を求めた。そして、宇宙飛行士のサム・ベルが世界最大の燃料生産会社ルナ産業との3年契約により、エネルギー源ヘリウム3を採掘して地球へ送るという仕事のため月へたった独り派遣される。以来、彼は月面基地サラングを拠点として、人工知能を搭載したロボット、ガーティを相棒に月面での作業に取り組み、また唯一の慰めだったTV電話での妻テスとの会話も衛星事故で交信不能になった今では、孤独感とも格闘していた。だが、その苦痛に耐える任期もあと残り2週間となった時、作業中に事故を起こしてしまう。やがて、基地内の診療室で目覚め安堵した刹那、そこに自分と瓜二つの人間がいることに気付くサム。これを機に、彼は周囲で起きている出来事が果たして幻覚なのか現実なのか、判別が出来なくなっていく…。(allcinema)
 

 
2009年 イギリス
原題:MOON
 
契約期間:3年
赴任地:月
労働人数:1人
このミッションは何か、おかしい。
 
監督: ダンカン・ジョーンズ 
製作: スチュアート・フェネガン  トルーディ・スタイラー 
製作総指揮: マイケル・ヘンリー  ビル・ザイスブラット  トレヴァー・ビーティー  ビル・バンゲイ 
原案: ダンカン・ジョーンズ 
脚本: ネイサン・パーカー 
撮影: ゲイリー・ショウ 
プロダクションデザイン: トニー・ノーブル 
衣装デザイン: ジェーン・ペトリ 
編集: ニコラス・ガスター 
音楽: クリント・マンセル
出演: サム・ロックウェル サム・ベル
    ドミニク・マケリゴット テス・ベル
    カヤ・スコデラーリオ イヴ
    ベネディクト・ウォン 
    マット・ベリー 
    マルコム・スチュワート 
    声の出演: ケヴィン・スペイシー ガーティ
 

映画を観るとき、多くの情報を入れないほうが絶対に面白い、
ということがよくあります。
何かあるぞ、という視点で観ると、物語に集中できずに、
結局充分に楽しめないのです。
 
今回のこの作品。
あちこちのブロガーさんで紹介されていましたので、
監督があの“デビッド・ボウイ”の息子さんだと知っていましたけど、
それ以外あまり丁寧にレヴューを読んだり、解説を読んではいませんでした。
 
正解でした。
 
月で一人で働く男、サム。
最初はもっと登場人物がいるのかと思って観てましたけど、
本当に一人で、基本はサム役のサム・ロックウェルの一人芝居。
新しい燃料源の採掘作業に関わるのが、一人の人間だと思うと、
なんとなく不思議な感じでした。
いくら近未来といったって、地球の燃料を賄うって大事業じゃないかしら…。
もっと大規模なステーションだっていいんじゃないかな~。
それか、人間ではなくてロボットだけのステーションとか…。

そんな疑問はあったものの、
サムと、相棒のコンピューターガーディとの日常が、淡々と過ぎて行きました。
 
途中でもう一人のサムが登場し、クローンの存在が浮き彫りになってからは
救助隊の到着という時間制限も相まって、展開に加速度が増し始めます。
なぜサムが一人だったかという疑問も解消されます。

クローンとはいえ、サムの地球への、家族への思いは確かなものでした。
地球で家族と暮らしたい。
それだけを支えに3年頑張ってきたのに…。
耐えてきたサムの意思を継いだもう一人のサム。
ふたりの奇妙な友情も哀しい。
 

クローンの存在意義ってどこにあるのか。
そんなことを心配しなくてはいけなくなる未来が来るんでしょうか。