山猫

イメージ 1 巨匠L・ヴィスコンティ監督が実在の貴族ランペドゥーサの小説を基に、B・ランカスター、A・ドロンら豪華競演陣を配して貴族の斜陽を重厚に描いた壮大なドラマ。日本公開においてはまず64年に大幅に短縮された英語国際版が上映され、次いで81年にイタリア語のオリジナル版、そして2004年に完全復元版が公開された。
 1860年春、統一戦争下のイタリア。腐敗した貴族支配からの解放を目指す統一運動の波は、ここシチリア島にも押し寄せる。そのシチリアを300年の長きに渡って統治してきたのは“山猫”の紋章を持つ名門貴族サリーナ公爵家だった。自らの終焉を感じながらも、これまで通り優雅に振る舞う公爵。一方、彼が目をかけていた甥のタンクレディは革命軍に参加し、機敏に立ち回る。ある日、片目を負傷し休暇の出たタンクレディは、避暑に向かうサリーナ公爵一家と合流、やがてそこで新興ブルジョワジーの娘アンジェリカと出会い恋に落ちるのだった。(allcinema)
 
1963年 イタリア/フランス
原題: IL GATTOPARDO
     THE LEOPARD
 
1963年第16回 カンヌ国際映画祭 パルム・ドール賞受賞
 
監督: ルキノ・ヴィスコンティ 
製作: ゴッフリード・ロンバルド 
原作: ジュゼッペ・トマージ・ディ・ランペドゥーサ 
脚本: スーゾ・チェッキ・ダミーコ  パスクァーレ・フェスタ・カンパニーレ 
       エンリコ・メディオーリ  マッシモ・フランチオーザ  ルキノ・ヴィスコンティ 
撮影: ジュゼッペ・ロトゥンノ 
音楽: ニーノ・ロータ 
出演: バート・ランカスター サリーナ公爵
    アラン・ドロン タンクレディ
    クラウディア・カルディナーレ アンジェリカ
    リナ・モレリ パオロ・ストッパ 
    ジュリアーノ・ジェンマ オッタヴィア・ピッコロ ピエール・クレマンティ 
    ロモロ・ヴァリ セルジュ・レジアニ イヴォ・ガラーニ アイダ・ガリ マリオ・ジロッティ  
 
先日wowowで放送されていました。
興味はあったものの、今まで見る機会がなかったので、
良いチャンスだと思って観ましたが…。
 
いや~~。とにかく長い…!
体調が万全じゃないと、寝ます…! 私は寝ました
イタリア語・完全復刻版で、186分の大作!
 
 
今流行りの映画に慣れると、ゆったりとした時間の流れに弱くなってます。
気持ちを楽にして、その世界に入り込まないと、ただ退屈なだけになってしまいます。
 
鑑賞後にネットで情報を見てみると、
これは物語を楽しむ作品というより、
栄華を極めた貴族の、最後の栄光を描きたす映像を見る作品 だとありましがが、

まさにその通りだと納得。

オープニングから見せる、貴族の屋敷広大さ。
別荘なんだそうだけど、続く道の雄大さ。
屋敷にいる下働きの数の多さ。
調度品や衣装には溜息が出そうになります。
そして圧巻はクライマックスの舞踏会のシーン。
 
その撮影には実際の貴族の家が使われ、
室内装飾から小道具に至るまで本物が集められた。
さらにエキストラも、貴族の子孫を起用するという念の入れよう。
 
とありました。
ヴィスコンティのこだわりが感じられるシーンです。

貴族とはいえ、“わたしは旺盛な男だ” と言い放ち
敬虔なクリスチャンの妻以外にも、庶民の愛人を持つ公爵は、
教会や神を信じることなく、自分に自信のある男でしたけど、
貴族としての良心や品を持つ男でもありました。
そして、若く活動的な甥を好ましいと思う、
老いを感じる男でもあったのです。

その甥が選んだ女性は、成り上がりの…解説では新興ブルジョアとありますが、
その娘で、美人ではあるものの、下くちびるを噛む姿や、笑い声に
品の無さを感じさせる女性。
それでも、これからの甥を支えるのはそういう家族なんだと、
公爵は後押しするんですが、
決して受け入れていたわけではない気がします。
 
貴族としての誇りを持ちつつも、
新しい時代を感じるようになる公爵の疲れていく姿が、
物悲しいくもあり、侘びしくもあり…。

歴史的な背景を知っているともっと分かるのかもしれませんが、
それでも堕ちていく貴族の哀れさは、B.ランカスターが見事に演じているし、
若い甥、A.ドロンとの対比でもよく表わされています。

長いけど、噛めば噛むほど味が出る、そんな気がする作品です。