阪急電車 片道15分の奇跡

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 片道わずか15分の関西ローカル線“阪急電車”を舞台に、そこに乗り合わせた人々の悲喜こもごもの人間模様を心温まるタッチで綴った有川浩のベストセラー連作短編集を、中谷美紀戸田恵梨香はじめ豪華キャストで映画化したハートフル群像劇。監督は数々のTVドラマを手掛け、本作で映画デビューとなる三宅喜重
 宝塚から西宮北口までを約15分でつなぐレトロな雰囲気の阪急今津線。そこには、様々な事情を抱えた男女が、束の間乗り合わせていた──。純白のドレスに身を包んだOL翔子。彼女は、婚約者を後輩に寝取られてしまい…。かわいい孫を連れた老婦人の時江は、息子夫婦との関係に悩む日々…。彼氏のDVに悩む女子大生のミサ。ふとしたことから車内で口論となり…。庶民的な主婦、康江は、肌の合わないPTAの奥様グループの誘いを断ることができず…。地方出身の大学生の権田原美帆と小坂圭一は、おしゃれな大学に馴染めず…。年上の会社員と付き合う女子高生の悦子。大学受験を控え、成績が思うように上がらず…。(allcinema)
 
2011年
上映時間 119分
 
その出会いは  偶然なんかじゃ  ……ない
 
「終着駅は、きっと笑顔。」
 
監督: 三宅喜重 
チーフプロデューサー: 重松圭一 
製作: 福井澄郎  松下康  見城徹  角和夫  桐畑敏春  中村仁  越智常雄 
プロデューサー: 沖貴子  田村勇気 
ラインプロデューサー: 岩本勤 
原作: 有川浩  『阪急電車』(幻冬舎刊)
脚本: 岡田惠和         撮影: 池田英孝 
美術: 松本知恵         衣裳: 会田晶子 
編集: 普嶋信一         音楽: 吉俣良    主題歌: aiko  『ホーム』
VE: 吉岡辰沖          記録: 木村晃子 
照明: 原田洋明         装飾: 藤田徹 
録音: 郡弘道 
出演: 中谷美紀 高瀬翔子      戸田恵梨香 森岡ミサ
       南果歩 伊藤康江        谷村美月 権田原美帆
       有村架純 門田悦子      芦田愛菜 萩原亜美
       小柳友 カツヤ          勝地涼 小坂圭一
       玉山鉄二 遠山竜太      宮本信子 萩原時江
 
この作品を観た人たちの評価は上々でした。
となれば、期待度がドーンと高くなるわけですが、
まあ、その評価に値する仕上がりだったようです。
 
ただ、TVドラマの粋を超えるかと言えば、そこは…ねえ。
 
こういうオムニバスの作品は、登場人物の関わり合い方がポイントになるわけで、
この作品でもどう関わって行くのかが楽しみでした。

登場人物の設定で、観る側にお気に入りのエピソードが変わる気もします。
 
個人的には、宮本信子さん演じる老婦人と
中谷美紀さん演じるOLさんとの絡みがお気に入りです。
 
常識を持った大人。
今はそういう人が少なくなったよな、と思いますが、
この老婦人は、相手が大人だろうが子供だろうが、常識にこだわって接します。
お節介、と本人は言うけど、まさにそのお節介な人が少なくなった。
 
だからこの老婦人のカッコよさが際立ちます。
セリフのひとつずつが心に響きます。
…あなたは悪くないから泣きなさい
…泣いても良いけど、自分で涙を止められる女になりなさい
とくにこのふたつにはやられました。
お見事です。
 
このスーパーおばあちゃんの存在で、ドラマが引き締まっています。
冒頭に中谷美紀とのエピソードが終わって、あらら、とちょっと気が抜けるくらい…。
 
中谷美紀演じるOLも、戸田恵梨香演じる大学生も、
老婦人と関わってカッコ良い女性になります。
その後、人生が変わるきっかけを感謝したふたりが、
今度は次の人へそのきっかけをバトンタッチ。

それがずっと繋がって行けば、
世の中は感謝する気持ちを持った、常識的な人間ばかりになるよね。
なんて思えるほど。
…もちろん嫌味ではなく(^^ゞ
 
メインの登場人物が全部女性で、女性目線で進むことに違和感がないわけでもないし、
それぞれのまとめ方が甘すぎるのも気になるけど、
ラストのシーンは、ちょっと湿っぽくて苦笑いしちゃうけど、
それでも、印象的なシーンは多くて、心がほっとしました。
 
もっとロケーションを楽しませてくれたら、大きなスクリーンで観たかったと思ったかな。