ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路

イメージ 1 神童ヴォルフガング・アマデウスモーツァルトの姉ナンネルを主人公に、当時の時代背景から女性であるがゆえにその音楽的才能を封印されてしまった悲劇のヒロインとしてその謎に包まれた人生を描き出す音楽ドラマ。監督は「夕映えの道」のルネ・フェレ。主演は監督の娘でもあるマリー・フェレ。
 18世紀中頃、レオポルド・モーツァルトは息子ヴォルフガングを売り出すべく、ヨーロッパ各地を巡る演奏旅行に繰り出す。その旅に同行した3つ上の姉ナンネルも、幼い頃から父の薫陶を受け、音楽の才能を花開かせていた。ところが、父は弟ヴォルフガングを溺愛する一方、ナンネルに対してはその才能を決して認めようとはせず、指導はおろか、ヴァイオリンに触ることさえ禁じてしまう。こうして弟のヴァイオリン演奏の伴奏に甘んじていたナンネルだったが、ヴェルサイユ宮殿王太子ルイ・フェルディナンと出会い、その才能を認められる。そして、彼のために曲を作るよう依頼されるのだが…。(allcinema)
 
2010年
原題:NANNERL, LA SOEUR DE MOZART
    MOZART'S SISTER

上映時間 120分
製作国 フランス
 
等しく才能に恵まれながらも、時代の波に押し流された女性ナンネル。
その秘められた音楽への情熱と儚い恋の物語。
 
監督: ルネ・フェレ 
製作: ルネ・フェレ  ファビエンヌ・フェレ 
脚本: ルネ・フェレ 
撮影: バンジャマン・エシャザレッタ 
美術: ヴェロニカ・フルブロット 
衣装: ドミニク・ルイ 
編集: ファビエンヌ・フェレ 
音楽: マリー=ジャンヌ・セレロ 
出演: マリー・フェレ ナンネル(マリア・アンナ・モーツァル)
    マルク・バルベ レオポルド・モーツァルト
    ダヴィド・モロー ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト
    リサ・フェレ ルイーズ・ド・フランス
    クロヴィス・フーアン 王太子
    デルフィーヌ・シュイヨー アンナ・マリア・モーツァルト
    サロメ・ステヴナン イザベル
    ニコラ・ジロー ヴェルサイユの音楽教師
    アルチュール・トス ユーグ
    ジュリアン・フェレ 大修道院の音楽教師
    ルネ・フェレ 音楽教師

 
 
事務所で発行している新聞のコラムを頼まれ、
映画と音楽を絡めて書きたいなと思ったので、選んでみました。
 
公開の時も観たかったんですよね。
なにしろ、かの有名なアマデウスモーツァルトのお姉さんの話ですもん。
ところが、どんな人物だったのか、ほとんど知識はありません。
 
モーツァルト一家は、父親の意向で演奏旅行に出ていました。
姉と弟の演奏、というのが売りでもあったけれど、
あくまでもヴォルフィー(アマデウスの愛称)を売り出すためでした。
 
アマデウスのお姉さんですし、お父さんも高名な音楽家ですから、
ナンネル自身にも音楽の才能はあったのですよ。

ところが、ナンネルはヴォルフィーのヴァイオリンの伴奏者、
連弾の相手という存在でしかありませんでした。
 
それはまあ厳しい父親です。
でも多分楽しかったんじゃないかな。音楽すること自体は…。
 
ただ、ナンネルにはもっと音楽の勉強をしたいという欲求がありました。
溢れ出る音を、曲として完成させるための作曲法を学びたいと父親に申し出るのですが
まだ幼いヴォルフィーには教えても、拒絶し続けます。
その理由が、女には難しいから。
そんなばかな!という感じですよね。
 
18世紀と言う時代、まだまだ女性が活躍できる時代ではなかった、
女性が表立って社会に進出する時代ではなかった、ということでしょう。
 
淡い恋に破れたナンネルは、父親の意思に従って作曲することを辞めてしまいます。
楽譜を暖炉に燃やすシーンは、胸が痛みました。
そして、生涯弟を支え続けるのです。
そういう道しか選べなかった、というのが切ないですね。
 
旅の途中でフランス国王の王女と知り合うのですが、
彼女が言った言葉がこの時代を象徴していたと思います。
 
もし男に生まれていたら、あなたは音楽、私は政治で国を支配していたかもしれない

ナンネルの音楽を聴くことはできませんが、
どんな音楽を作ったんだろうと、思いを馳せるラストでした。