ファミリー・ツリー (2011)

イメージ 1
 ジョージ・クルーニーが家族との関係を見つめ直していく悩める父親を演じて高い評価を受けたコメディ・ドラマ。美しい自然が広がる楽園ハワイを舞台に、一族で受け継いできた土地の処遇を巡って決断を迫られ、さらには妻が事故で昏睡に陥る中、娘から衝撃の事実を告げられた男の混乱と家族再生への道のりを、深刻なテーマの中にもユーモアを織り交ぜ軽妙に綴ってゆく。監督は「サイドウェイ」のアレクサンダー・ペイン
 オアフ島に暮らす弁護士のマット・キング。彼の一族はカメハメハ大王の末裔で、カウアイ島に先祖から受け継いだ広大な原野を所有していた。目下、その土地の売却問題で一族の意見をまとめる大役に頭を痛めていた。そんな中、妻のエリザベスがボート事故で意識不明の昏睡状態に陥ってしまう。家庭のことを妻に任せきりだったマットは、10歳になる次女スコッティの反抗的な振る舞いにもただ戸惑うばかり。追い打ちを掛けるように、全寮制の高校に通う長女アレックスから“ママは浮気していた”という思いもよらぬ事実を突きつけられ、ショックと怒りを隠せないマットだったが…。
<allcinema>
 
2011年
原題:THE DESCENDANTS
上映時間 115分
製作国 アメリ
 
ハワイに暮らしていても
人生は<楽>じゃない!
 
監督: アレクサンダー・ペイン 
製作: ジム・バーク  アレクサンダー・ペイン  ジム・テイラー 
原作: カウイ・ハート・ヘミングス  『ファミリー・ツリー』(ヴィレッジブックス刊)
脚本: アレクサンダー・ペイン  ナット・ファクソン  ジム・ラッシュ 
撮影: フェドン・パパマイケル 
プロダクションデザイン: ジェーン・アン・スチュワート 
衣装デザイン: ウェンディ・チャック 
編集: ケヴィン・テント 
音楽監修: ドンディ・バストーン 
出演: ジョージ・クルーニー マット・キング                 シャイリーン・ウッドリー アレクサンドラ・キング
        アマラ・ミラー スコッティ・キング                     ニック・クラウス シド
        ボー・ブリッジス 従兄弟のヒュー                     ロバート・フォスター スコット・ソーソン
        ジュディ・グリア ジュリー・スピアー                  マシュー・リラード ブライアン・スピアー
        メアリー・バードソング カイ・ミッチェル              ロブ・ヒューベル マーク・ミッチェル
        パトリシア・ヘイスティ エリザベス・キング
 
ジョージ・クルーニーアカデミー賞の主演男優賞にノミネートされた作品なので、
絶対に観ようと思ってました。
良かったです、おとぼけシーンもあるものの、根っこはかなり深い…。
 
ジョージ・クルーニー演じる中年の弁護士マットは、
仕事ばかりしていて家族を顧みなかった、どこにでもいる男です。
そのマットに降りかかった災難。
 
妻がボート事故でこん睡状態に陥ってしまう…。
多分ある一定の年齢の世の男性は、身につまされるかもしれませんね。
そうなったとき、自分に何ができるか、
急に向き合わなくてはいけないんですもん。
 
10歳と17歳の娘ふたりとも、どう接していいか分からない。
妻の病状も心配だけど、目の前にいる娘との暮らしにあたふたしてしまう。
 
このふたりの娘。
天下のジョージ・クルーニー相手に、しっかりと役割を演じ切っています。
表情が素晴らしいのですよ。
家族って何?と訴えかけてきます。
 
その後、妻の浮気発覚という事態に直面。
マットは自分を抑えられず、浮気相手を探すことにします。
探してどうなるのか、深く考えずの行動だったと思います。
その結果、家族がひとつのまとまったマットとは相対して、
壊れていくかもしれない家族には、胸が痛みます。
 
妻はこん睡状態で、浮気の弁解も、夫への不満も口にすることはできないんです。
その現実が重い…。
もしかしたら本当は夫を愛していたかもしれない、
浮気ななんて気の迷いだったかもしれない。
そういう方向へは絶対に進んでいかないんです。
悲劇です…。

常にカッコイイヒーローを演じて来たジョージ・クルーニー
今回はダメおやじぶりを発揮。
今後、役の幅を広げていくんでしょうね。
 
実はもう一人、ユニークな男の子が登場しています。
長女の友達なんだけど、おばかと思いきや実は苦労人で、
マットと男同士の話なんかしちゃうんです。
マットにとって、観る側にとっても、救い?癒しだったんでしょうね。

ハワイというのどかな音楽や風景がなければ、とってもヘビーで観るのが苦しくなる内容です。
青い海と青い空。
ゆったりとした時間の流れ。
そしてマットが直面する運命に立ち向かうアクティブな姿や、
娘たちの健気な姿が、
この作品のヘビーさを緩和してくれていると思います。

そしてマットが置かれている状況はそれだけではなく、
カメハメハ大王の末裔で、
先祖から受け継いだ土地の売買なども絡んでいきます。

先祖を思いやり、子孫に未来を託す…。
そんな明るさは、やっぱりハワイだからこそでしょうね。