永遠の僕たち - ☆ひっくり返ったおもちゃ箱☆

　「エレファント」「ミルク」のガス・ヴァン・サント監督が死にとらわれた少年を主人公に描く奇妙で切ないピュア・ラブストーリー。主演は名優デニス・ホッパーの息子ヘンリー・ホッパーと「アリス・イン・ワンダーランド」のミア・ワシコウスカ、共演に「それでもボクはやってない」「アウトレイジ」の加瀬亮。
　交通事故で両親を失い、自身も臨死を体験した少年、イーノック。以来、日本人の特攻青年ヒロシの霊が見えるようになり、今では唯一の話し相手となっていた。すっかり死にとらわれてしまった彼は、見ず知らずの故人の葬式に紛れ込むことを繰り返していた。ある日、それを見とがめられた彼は、参列者の少女アナベルに救われる。彼女は余命３ヵ月であることをイーノックに打ち明け、２人は急速に距離を縮めていく。そしてそんな２人を、イーノックの傍らでヒロシが優しく見守るが…。＜allcinema＞

2011年
原題：RESTLESS

上映時間 90分
製作国アメリカ

天国より近くにいる君へ

監督：ガス・ヴァン・サント
製作：ブライアン・グレイザーロン・ハワードブライス・ダラス・ハワードガス・ヴァン・サント
製作総指揮：デヴィッド・アレン・クレスエリック・ブラックマイケル・シュガー
            　　セーラ・ボーウェンエリカ・ハギンズ
脚本：ジェイソン・リュウ
撮影：ハリス・サヴィデス
プロダクションデザイン：アン・ロス
衣装デザイン：ダニー・グリッカー
編集：エリオット・グレアム
音楽：ダニー・エルフマン
出演：ヘンリー・ホッパーイーノック                  ミア・ワシコウスカアナベル
        加瀬亮ヒロシ                                  シュイラー・フィスクエリザベス
        ジェーン・アダムスメイベル                    ルシア・ストラスレイチェル
        チン・ハンドクター・リー

90分という時間のせいか、シンプルに描かれているので、いろんな説明がありません。
疑問符は、少しずつ見えてきて、
主人公のふたりの状況や感情に納得させられます。

両親を車の事故で亡くしたイーノック。
自身も臨死体験をしてこん睡状態にあったので、両親の葬儀に出られなかった。
それだけではなく、現在一緒に暮らす叔母との葛藤もあり…。
これは後にイーノックから語られます。

そのイーノックが、葬儀で出会った少女アナベルは、
余命宣告を受けたガン患者。

このふたり。

ティーンエイジャーの不安定さや潔癖さなど、繊細な感情がよく出ています。
ちょっとその年齢にしては幼い、というかピュアと言うか…。
そんな印象と、“死”という現実がミスマッチ。

でも、こんな風に何かに必死になるって、この年代の特権かもしれません。

余談ですけど、余命宣告されたら…。
残された時間は愛する人と一緒にいたいと思うし、
こんな葬儀をしてほしいと伝えておきたい。
特に葬儀に関しては、日本独特のあの告別式もいいけど、
こんな風に、みんなで思い出を語ってほしいなと思うようになりました。
好きな音楽をたくさん掛けて送ってほしい…。

なんて、ちょっと心が弱くなってる時期なので、そんな思いが巡りました(^^ゞ

イーノックが唯一心を許せる幽霊のヒロシ。
第二次大戦の日本軍の特攻隊の青年なんだけど、なんでそんな設定？と思っていました。
とあるレビューで、
イーノックとヒロシは、
愛する人の最期に立ち会えなかった、立ち会わせられなかった、
愛する人に思いを伝えられなかった未練を持つ者で、
アナベルの死は、残されてしまった、残してしまった者の思いを鎮める役割。
というのを読んで、それぞれの役割を納得しました。

イーノックを演じたヘンリー・ホッパーは、デニス・ホッパーの息子。
内に秘めた感情が伝わってきました。
ミア・ワシコウスカ。存在感がある女優さんになってきましたね。
そして特攻青年役の加瀬亮。

ありがちなアジア系の役者さんじゃなくて、日本人が演じて良かった、と思う配役でした。

生と死。
喜びと悲しみ。
それに直面した者にしか感じることのできない感情。
それを丁寧に描いていて、死は悲しいけど、

受け止めて前向きに生きていくだろう若者の姿に、心が洗われるラストでした。

時間が経ってからも、忘れないだろうなと思う作品です。