クレアモントホテル

イメージ 1 フランソワ・オゾン監督「エンジェル」の原作でも知られるイギリスの女性作家エリザベス・テイラーが71年に発表した小説を映画化したヒューマン・ドラマ。ロンドンの長期滞在型ホテルを舞台に、晩年を迎えた老婦人と偶然出会った青年との心温まる交流を綴る。主演はベテラン女優ジョーン・プロウライト、共演は本作後には「ヴィクトリア女王 世紀の愛」「わたしの可愛い人―シェリ」などにも抜擢されたイギリスの新鋭ルパート・フレンド。監督はこれが長編3作目となる「草の上の月」のダン・アイアランド。
 ロンドンの街角にひっそりと佇むクレアモントホテル。この長期滞在型ホテルに一人の老婦人サラ・パルフリーがやって来る。最愛の夫に先立たれた彼女は、人生の晩年を娘に頼ることなく自立して生活していこう考えていた。ところが、想像とかけ離れたホテルの現実とクセ者揃いの滞在客に落胆してしまう。周囲からすっかり取り残されたようなこのホテルの長逗留者たちにとって、外からかかってきた電話と訪問客は何よりの関心事。そんな彼らを相手にロンドンに住む孫デズモンドのことを自慢げに話すサラだったが、肝心のデズモンドからは待てど暮らせど音沙汰なし。すっかり困り果てたある日、サラは作家志望の青年ルードヴィックと出会う。そして、ひょんな成り行きから彼にデズモンドのフリをしてもらうことになるのだが….。<allcinema>
 
2005年
原題:MRS PALFREY AT THE CLAREMONT
上映時間 108分
製作国 アメリカ/イギリス
 
日だまりの場所をだれもが求めている。
 
監督: ダン・アイアランド 
製作: リー・カプリン  ザカリー・マッツ  カール・コルパート 
原作: エリザベス・テイラー 
脚本: ルース・サックス 
撮影: クラウディオ・ローシャ 
音楽: スティーヴン・バートン 
音楽プロデューサー: ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ 
出演: ジョーン・プロウライト パルフリー夫人                   ルパート・フレンド ルードヴィック・メイヤー
       アンナ・マッセイ アーバスノット夫人                        ロバート・ラング オズボーン氏
       ゾーイ・タッパー グェンドリン                                 クレア・ヒギンズ ルードヴィックの母
       ジョージナ・ヘイル               マーシャ・ウォレン              ミリセント・マーティン 
       マイケル・カルキン               アンナ・カータレット            ローカン・オトゥール 
       ティモシー・ベイトソン  
 
ドキドキワクワクするような娯楽大作も好きだけど、
心の隙間を埋めるように温かい気持ちにさせてくれる、こんな作品も大好きです。
 
ロンドンのクレアモントホテルに長期滞在する未亡人と、
ニセの孫を演じた物書きの青年のお話。
 
ずいぶん時間が経ってから、本当の孫が来るんだけど、
その時のサラの対応が笑えるんです。
もうこっちが本物だと言えない。
だってルードヴィックの方が好青年なんだもん。
 
定職にもつかない物書き志望の青年。
肩書きだけみたら、本物の孫の方が良いに決まってる。
でも、ルードヴィックは品があって優しい。
人としてなら、断然ルードヴィックに軍配が上がります(^^)
でも、もしかしたら他人だから良く見えるのかもね。
なんて思うのは、その後のエピソードでも感じます。
ルードヴィックの母親に会いに行くんだけど、そのシーンが素敵。
礼儀正しく自分に接してくれるルードヴィックを育てた母親に、
育てたお礼を言うんです。
ああ、素敵なシーンだなって心が揺れました。
 
自分の娘はちゃんと育てることができなかった、という気持ちもあるんでしょうね。
孫を通じて感じたんでしょう。

ルードヴィックに恋人ができてから、少し事情が変わります。
分かっていても、やっぱりサラの気持ちは乱れます。
切なかったな~。
サラの心の揺れは、きっと女性共通の揺れだと思いました。
 
サラはもうずいぶん年齢を重ねている未亡人なんだけど、
上品で、そして可愛らしい女性です。
ルードヴィックも素敵な若者です。
最近こういう若者って見かけないな~って思いました。
日本だけ…?
一人そばにいてほしい(^^)

ホテルに滞在している他の客も個性的で楽しい。
詮索好きな夫人や、思慮深い婦人。
そしてサラにプロポーズする男性も…。
 
どんな風に人生の終焉を迎えるかわからない。
でも、そんな時に見送ってくれる人がいてほしい。
サラの立場になって見がちだけど、
ルードヴィックにとってサラの存在はなんだったんだろうなって思います。
 
年齢とか性別に関係ない、本当に信頼し合える関係。
羨ましい…。
 
いくつになっても友情や愛情を育んで行ける人間でいたい。
そんな風に思えた、お気に入りになった作品です。