ゲーテの恋 ~君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」~

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 ドイツの文豪ゲーテを主人公に描くラブ・ストーリー。彼の代表作『若きウェルテルの悩み』のモデルともなった恋の行方を軸に、ゲーテの青春時代を瑞々しく綴る。主演はドイツ期待の若手アレクサンダー・フェーリング、共演にミリアム・シュタイン、モーリッツ・ブライブトロイ。監督は「アイガー北壁」のフィリップ・シュテルツェル。
 1772年、ドイツ。法律を学ぶ青年ヨハン・ゲーテの夢は、作家になること。しかし、出版社に送った原稿はあっさりと突き返され、夢破れた彼は、父親に従って田舎町ヴェッツラーの裁判所で実習生として働くしかなかった。そんなある日、ゲーテシャルロッテという女性と図らずも恋に落ちてしまう。一方、ゲーテの上司ケストナー参事官も、シャルロッテを見初めて彼女の父親に縁談を申し込んでいた。<allcinema>
 
2010年
原題:GOETHE!
上映時間 105分
製作国 ドイツ
 
きみに見つめられるだけで、 幾千の詩が生まれる。
 
監督: フィリップ・シュテルツェル 
製作: クリストフ・ムーラー 
脚本: フィリップ・シュテルツェル  クリストフ・ムーラー  アレクサンダー・ディディナ 
撮影: コーリャ・ブラント 
音楽: インゴ・フレンツェル 
出演: アレクサンダー・フェーリング ヨハン・ゲーテ
       ミリアム・シュタイン シャルロッテ・ブッフ
       モーリッツ・ブライブトロイ アルベルト・ケストナー
       ヘンリー・ヒュプヒェン ゲーテの父
       ブルクハルト・クラウスナー シャルロッテの父
       フォルカー・ブルッフ 
       ハンス・マイケル・レバーグ 
 
「若きウェルテルの悩み」って、中学か高校生の頃に読んだ記憶があります。
でも全然覚えてない…。
今回、改めて読んでみようかと思ったりしたほど、素敵な作品に出合いました。
 
ヨハン・ゲーテは法律を学んでいるが、実は作家になりたい。
ところが、出版社は相手にしてくれないし、
父親からは、自分の知り合いがいる田舎の裁判所で、実習生として学ぶことを命じられます。
 
田舎町で実習生としての生活が始まり、友達もでき、仕事はソツなくこなしていきます。
ただの木偶の坊じゃないんだと、仕事の手際良さで感じさせます。
 
そこで運命の女性、ロッテと出会い、恋に落ちるんだけど、
恋物語は、とてももどかしくて初々しい(^^)
 
ロッテは、母親を亡くしたばかりで、
たくさんの妹弟の面倒を見なくてはいけないし、父親も年老いている、
という家庭環境にありました。
 
ヨハンとロッテは一目で惹かれあうけど、ロッテの家庭環境から
父親は、ヨハンの上司であるケストナーと結婚させようと思っています。
ケストナーもロッテを気に入っているし、
ヨハンと違って、何より出世間違いなしの社会的に立派な人間なのです。
父親としては、そういうところに嫁いでくれれば、家は安泰だというわけです。
もちろん、娘にとってもそれが幸せだと疑わない。
 
惹かれあうふたりだったけど、
ロッテはヨハンの才能を信じて、身を引くことにします。
自分のために、田舎で法律家になることを良しとしなかったのです。
健気と言うんでしょうかね。
ロッテの婚約披露パーティで、言葉を失くすヨハンが痛々しかった…。
そして、ロッテが別れを告げるシーンは、本当に切なかったです。
 
ヨハンを演じたアレクサンダー・フェーリング
途中から、ヒース・レジャーと被ってしまったんですよね~。
彼が演じた【カサノバ】とか【ロック・ユー】とか思いだしてしまいました。
 
上司のケストナーを演じたのはモーリッツ・ブライブトロイ
ドイツ映画には欠かせない俳優さんですね。
今回は嫌味は上司を演じてます。
 

結局、ヨハンはその失恋話と、友人の自殺とを絡めて小説を書き、
それがロッテによって出版されて、作家としての道を歩き始めることになります。
 
ヨハンとロッテの話は、素直な恋愛物語で良かったんだけど、
それぞれの父親の思いが対照的だなあと思いながら、観終わりました。
 
ロッテの父親は、ロッテがヨハンを忘れられないことを知っていました。
それでも、家族のためにケストナーに嫁がせたい。
それが娘と家族の幸せだと信じて疑わない。
確かに、それも幸せの形のひとつだと思うけど、
苦しい選択でした。
 
それに反してヨハンの父親は、
最初は作家などではなくて、まともな仕事に着けと田舎に送り込みます。
それは親として当たり前の行動だと思います。
でも、最後に自分の息子の書いた小説で街中が沸き立っていると、
「法律家としては三流にしかなれないだろうけど、作家なら…」と言う父親の姿は誇らしげで
息子のやりたいことを応援してやろうという姿に、感動を覚えました。
 
どちらが良いというのではなく、対照的なふたりの父親に、
ヨハンとロッテの生涯に、大いなる影響を与えた存在だと思ってしまったのでした。
 
子供は自分の意思で人生を歩んでるつもりでも、
実は親の意思が反映されてるのかもしれない…。
親の存在って、そう言うものかもしれませんね。
 
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