善き人
「ヒストリー・オブ・バイオレンス」「イースタン・プロミス」のヴィゴ・モーテンセンが、自身の著書をヒトラーに気に入られたばかりに、ユダヤ人との友情や善き人であろうとする己の信念との狭間で苦悩を深めていく大学教授を好演したヒューマン・ドラマ。英国の劇作家、C・P・テイラーの舞台劇を映画化。共演にジェイソン・アイザックス、ジョディ・ウィッテカー、マーク・ストロング。監督はデビュー作となる前作「Oi ビシクレッタ」で注目を集めたブラジル在住の新鋭ヴィセンテ・アモリン。
1930年代、ナチス台頭のドイツ。ベルリンの大学で文学を教えるジョン・ハルダーは、家族思いの善良で平凡な男。ところがある日、安楽死をテーマにした彼の小説がヒトラーに気に入られ、渋々ながらも入党せざるを得なくなる。しかしジョンには、モーリスというユダヤ人の親友がいた。生き延びるためのやむを得ない選択ながら、モーリスへの後ろめたさに苛まれるジョン。やがて、ユダヤ人への弾圧が激しくなる中、ジョンはモーリスの国外脱出を手助けしようとするが…。<allcinema>2008年
原題:GOOD上映時間 96分
製作国 イギリス/ドイツ監督: ヴィセンテ・アモリン
製作: ミリアム・シーガル セーラ・ブート ケヴィン・ローダー ダン・ルポヴィッツ ビリー・ディートリッヒ
製作総指揮: ダニエル・ダジャーニ サイモン・フォーセット ピーター・ハムデン スティーヴン・ヘイズ
原作戯曲: C・P・テイラー
脚本: ジョン・ラサール
撮影: アンドリュー・ダン
プロダクションデザイン: アンドリュー・ロウズ
編集: ジョン・ウィルソン
音楽: サイモン・レイシー
出演: ヴィゴ・モーテンセン ジョン・ハルダー ジェイソン・アイザックス モーリス
ジョディ・ウィッテカー アン スティーヴン・マッキントッシュ フレディ
マーク・ストロング ボウラー ジェマ・ジョーンズ ハルダーの妻
アナスタシア・ヒル ヘレン
ジョン・ハルダーは、家事をこなし母親の介護をする心優しき大学教授。
安楽死をテーマにした小説がヒトラーに気に入られてしまい、入隊することに。
ところがジョンにはモーリスというユダヤ人の友人がいて、
時代の波は、ふたりの間にも押し寄せることになります。
安楽死をテーマにした小説がヒトラーに気に入られてしまい、入隊することに。
ところがジョンにはモーリスというユダヤ人の友人がいて、
時代の波は、ふたりの間にも押し寄せることになります。
モーリスは襲い繰る恐怖から、ジョンへ途方もない要求をします。
国外への脱出。
そのための切符の入手。
国外への脱出。
そのための切符の入手。
そういうエピソードと、ジョンの浮気から離婚、再婚といったエピソードで
ジョンの人となりを描いています。
ジョンの人となりを描いています。
ジョンの家庭は、決してジョンに優しい場所ではなかった気がします。
家事もせずにピアノを弾く妻。
ジョンを頼る母親。
そんな状況で美しい教え子が言い寄ってくれば、靡いても仕方ない。
強い意志を持って選択したとは思えないけど、
ジョンがそういう道を選んだのも、理解できないこともありません。
ジョンがそういう道を選んだのも、理解できないこともありません。
障害者などを排除しようとしていたということを描いています。
教え子との浮気も、入党も、モーリスの逃亡を助けることも、
ジョンは強い意志を持って行動していたようには見られず、
流されていただけのようにみえます。
ジョンは強い意志を持って行動していたようには見られず、
流されていただけのようにみえます。
でも、人ってそんなもんじゃないかな。
声高に叫びながら生きていく人のほうが、少ないかもしれない。
声高に叫びながら生きていく人のほうが、少ないかもしれない。
あれよあれよという間に、自分の意志とは違ったほうへ流されていく。
そしてそれが、ユダヤ人や障害者の排斥につながっていると知って、呆然とするジョン。
そしてそれが、ユダヤ人や障害者の排斥につながっていると知って、呆然とするジョン。
物語はそこで終わっていますが、
ジョンが冷静でいられるか、若い妻との関係がどうか、
戦争という大きな渦に耐えられるのか、
そんなことを思ってしまいました。
こういう時代ですからね、
何が正しいか。
その価値観は、今とは大きく違っているでしょうが、
家庭に対して、友に対してのジョンの行動は、
決して責められるものではないと思いまよね…。