フライト (2012)

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 「トレーニング デイ」「デンジャラス・ラン」の名優デンゼル・ワシントンが心の弱さを抱えた一人の男の葛藤をみごとに演じきり、4度目のアカデミー賞主演男優賞ノミネートを果たした衝撃のヒューマン・ミステリー・ドラマ。奇跡的な緊急着陸を成功させて多くの人命を救い一躍国民のヒーローとなったパイロットが、一転してアルコール中毒の疑惑で全てを失う危機に直面するさまをサスペンスフルに描く。共演はドン・チードルケリー・ライリージョン・グッドマン。監督は2000年の「キャスト・アウェイ」以来久々の実写作品となる「フォレスト・ガンプ/一期一会」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のロバート・ゼメキス
フロリダ州オーランド発アトランタ行きの旅客機が突如制御不能に陥り、急降下を始める。もはや墜落は避けられないと思われた危機的な状況の中、機長のウィトカーは驚異的な操縦テクニックで機体を不時着させ、犠牲者を最小限にとどめて多くの命を救うことに成功する。その奇跡の着陸はマスコミに賞賛され、ウィトカーは一夜にしてヒーローとなる。ところが、彼の血中からアルコールが検出されたことで事態は思わぬ方向へ。もし飲酒が表沙汰になれば、パイロットとして致命的なだけでなく、場合によっては過失致死で終身刑の可能性も。そこでウィトカーは、弁護士のラングとともに事実の隠蔽に動き出すが…。<allcinema>

2012年
原題:FLIGHT
上映時間 138分
製作国:アメリ
彼は 英雄(ヒーロー)か 犯罪者か
監督:ロバート・ゼメキス
製作:ウォルター・F・パークス  ローリー・マクドナルド  スティーヴ・スターキー ロバート・ゼメキス
    ジャック・ラプケ
製作総指揮:シェリラン・マーティン
脚本:ジョン・ゲイティンズ
撮影:ドン・バージェス
視覚効果監修:ケヴィン・ベイリー
プロダクションデザイン:ネルソン・コーツ
衣装デザイン:ルイーズ・フログリー
編集:ジェレマイア・オドリスコル
音楽:アラン・シルヴェストリ
出演:デンゼル・ワシントン ウィップ・ウィトカー
    ドン・チードル ヒュー・ラング
    ケリー・ライリー ニコール・マッゲン
    ジョン・グッドマン ハーリン・メイズ
    ブルース・グリーンウッド チャーリー・アンダーソン
    メリッサ・レオ エレン・ブロック
    ブライアン・ジェラティ ケン・エヴァンス
    タマラ・チュニー マーガレット・トマソン
    ナディーン・ヴェラスケス カテリーナ・マルケス
    ジェームズ・バッジ・デール 男性患者
    ガーセル・ボヴェイ ディアナ

新しくユナイテッド・シネマがオープン。
映画館と映画に興味津々で出かけてきました(^^)

アカデミー賞の主演男優賞と脚本賞にノミネートされた作品。
いや~、素晴らしい。
アカデミー賞関連の作品は、観賞済みだけの感想だけど、かなりレベルが高いんじゃないでしょうか。


旅客機が制御不能になって、それを意表を突いた手法で不時着させた天才的なパイロット・ウィップは、
勤務の朝も、勤務中もアルコールを飲み続けるアルコール中毒
いつものデンゼル・ワシントンと違うぞ、と思わせる登場。
疲れた顔と、たるんだ肉体。
かなり不摂生をしてるなと見せつけられました。

制御不能になってから不時着するまで。
それはそれは呼吸困難になりそうなシーンの連続で、
まるで搭乗しているかのような気分にさせられました。

その間のウィップの行動は、目を見張るような手腕ではあるけど、
どこかしらテンションの高さを感じさせます。
アルコールと薬でハイになってたんですね。

その後、ウィップがどんな人間なのかが描かれています。
ひとつの嘘が次の嘘を呼ぶ…。
見事なまでの嘘の連鎖。

確かに、制御不能になったのは機体のせいで、
ウィップは不可能を可能にしたパイロットで、責められるものではないんですよね。
事故の原因究明とウィップのアルコール摂取の問題が混同して、
ウィップがイラつくのもよくわかります。

それでも、彼は自分の非を認めようとはせず、自身も嘘をつき通すし、
CAに嘘の供述を頼んだり、辞めると言いながらアルコールを辞められないし、
とにかく懲りない奴なんです。

最後の最後まで、自分を変えられない。
そう簡単じゃないんだよね。と擁護したくなったり…。
もしかしたら良きパートナーになったかもしれない、同じくアルコールと薬中毒のニコールも
変わらないウィップに愛想を尽かして離れてしまう。

とことんダメな奴。
そんな男を、デンゼル・ワシントンは今まで演じたことがあったんでしょうか。
知識無いんですけど…(^^ゞ
脚本も素晴らしかったと思うし、男優賞を獲ってもおかしくないと思ってしまいましたよ。


そんなダメダメな彼が、最後で譲れなかったのは友人への尊厳。
自分自身のことを問われたなら、最後まで嘘をつき通したでしょうね。
公聴会の前まで半ば諦めて観ていたので、
最後のウィップの発言には、ほっとして深いため息が出ました。


人は絶対に侵してはいけない領域というのがあるんですよね。
友人や家族に対する信頼。
それを守ったウィップには、拍手を送りたい気持ちになりました。


《おまけ》
朝日新聞掲載の、沢木耕太郎氏のコラムが印象的でしたので、
よかったらお読みください。