灼熱の魂

 カナダに在住するレバノン出身の劇作家ワジ・ムアワッドの同名戯曲を「渦」ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が映画化した衝撃のヒューマン・ミステリー。亡くなった母の遺言に従い、父と兄を探す旅に出た双子の姉弟が、やがて自分たちのルーツでもある激しい宗教対立に翻弄され続けた母の数奇にして壮絶な運命と向き合っていく姿を、現在と過去それぞれのエピソードを通して力強い筆致で描き出していく。主演は「愛より強い旅」「パラダイス・ナウ」のルブナ・アザバル。2010年度のアカデミー賞外国語映画賞ノミネート作品。
 中東系カナダ人女性ナワル・マルワンが亡くなり、公証人から遺された双子の姉弟ジャンヌとシモンに遺言が伝えられた。それは、父親と兄を見つけ出し、それぞれに宛てた母からの手紙を渡してほしいというもの。死んだと思い込んでいた父ばかりか、存在すら知らなかった兄がいることに当惑するジャンヌとシモン。それでもジャンヌは遺言に従い、中東にある母の祖国へと旅立つのだったが…。<allcinema>
2010年イメージ 1
原題:INCENDIES
上映時間 131分
製作国 カナダ/フランス
圧倒的な映像で描く 至高のミステリー、
魂が震える究極のエンタテインメント
お母さん、あなたが生き続けた理由を教えてください。
監督: ドゥニ・ヴィルヌーヴ 
製作: リュック・デリー キム・マクロー 
原作戯曲: ワジディ・ムアワッド 
脚本: ドゥニ・ヴィルヌーヴ 
撮影: アンドレ・トュルパン 
美術: アンドレ=リン・ボパルラン 
衣装: ソフィー・ルフェーヴル 
編集: モニック・ダルトンヌ 
音楽: グレゴワール・エッツェル 
出演: ルブナ・アザバル ナワル・マルワン
    メリッサ・デゾルモー=プーラン ジャンヌ・マルワン
    マキシム・ゴーデット シモン・マルワン
    レミージラール 公証人ジャン・ルベル
 
多少の知識は持って観始めたはずなのに、
やはり冒頭からしばらくは、時系列を追いかけるのに必死でした。
 
母親が亡くなり、その遺言が双子の姉弟、ジャンヌとシモンに公開される。
そこには、死んだと思っていた父親と、今まで知らされていたなかった兄への手紙もあった。
ジャンヌは、母親の気持ちを思ってふたりを探す旅に出るけど、
シモンは同行しない。
 
真実を知ることへの不安と、母親の思いを大切にしたいという気持ちと、
そのどちらも勇気のいる決断だと思います。
だから、ジャンヌもシモンも、どちらも否定も肯定もできません。
 
ジャンヌ一人での旅の果てに、たどりついた驚愕の真実。
そんな真実を打ち明けようと思った母親の意図はどこにあったのか。
 
宗教戦争はいつの時代にもあって、何本もの映画にもなってきました。
確固たる宗教を持たない日本人にとっては、
それが戦いに結びつかないのは仕方ない、といつも感じてきました。
 
ただ、戦いによって得るものより、失うものの方が多い気がするんです、いつも…。
 
母ナワルもまた、15年ものあいだ投獄され、人生を大きく変えてしまうのです。
 
後半に進むにつれて、過酷な運命の巡り合わせを見せつけられ、
言葉もありませんでした。
ナワルは何故その過酷な運命を子どもたちに背負わせようとしたのでしょう。
知らなくていい真実もあるように思えてなりませんでした。
物凄い印象を残す作品でした。