風立ちぬ (2013)

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 宮崎駿が月刊模型雑誌「モデルグラフィックス」に連載していた漫画を自らアニメ映画化。宮崎自身が監督を務めるのは2008年の「崖の上のポニョ」以来となる。零戦こと零式艦上戦闘機の設計者として知られる堀越二郎の半生を、堀辰雄の小説『風立ちぬ』のエピソードを盛り込みながら描く。音楽は「風の谷のナウシカ」以来すべての宮崎作品を手がけてきた久石譲が担当。主題歌として荒井由実(現・松任谷由実)の「ひこうき雲」が起用された。(allcinema)
2013年 Anime 上映時間 126分
生きねば。
監督:宮崎駿
プロデューサー: 鈴木敏夫
原作:宮崎駿 脚本:宮崎駿 作画監督高坂希太郎 動画検査: 舘野仁美 美術監督武重洋二         色彩設計保田道世 
撮影監督: 奥井敦 編集:瀬山武司 音楽:久石譲 音響演出: 笠松広司
主題歌:荒井由実ひこうき雲
アフレコ演出:木村絵理子 制作:星野康二 スタジオジブリ 整音:笠松広司
声の出演: 庵野秀明 堀越二郎
瀧本美織 里見菜穂子
西島秀俊 本庄季郎
西村雅彦 黒川
ティーブン・アルパート カストル
風間杜夫 里見
竹下景子 二郎の母
志田未来 堀越加代
國村隼 服部
大竹しのぶ 黒川夫人
野村萬斎 カプローニ

これだけ劇場で予告編を見せつけられて、
それで面白くなかったら許さんぞー!
なんていう思いも多少持ちながらの観賞だったんですが、
素直に、とても素敵なお話でした。と言える作品です。

零戦の設計者、堀越二郎と、小説【風立ちぬ】の原作者、堀辰雄を絡ませた主人公二郎の、
夢を追い続ける生真面目な人生を描いています。

子供の頃は、パイロットになりたかったんだけど、
視力が悪く、その夢を断念。
代わりに設計者になる夢を抱き、そしてその夢を叶える二郎の強い信念には、
あっぱれというしかありません。

学生時代、関東大震災の日に出会った菜穂子との恋愛も、
二郎の人柄よく表わしています。
けれど、一途に想い続け、その想いを叶えて結婚した菜穂子は結核を患っていました。
当時、結核といえば不治の病。
一緒にいる時間をいとおしむように過ごす姿も、愛情に溢れています。
この辺りは、大人な雰囲気に満ちていて、多少生々しかったり…(^^ゞ

美しい飛行機を作りたいという仕事への愛情と、
病床にある妻への愛情と、
純粋過ぎる二郎の思いが、淡々と綴られています。

入らないものを削ぎ落とした脚本には、物足りなさを感じたりもします。
震災や戦争、病気や貧困といった
当時の日本が抱えていた“負”の部分は、正面切って描かれてはいません。
飛行機を作りたいという二郎の思いは純粋だけど、
その裏側には、軍が絡んでいるわけで、
ほんとはもっとドロドロしてるはずなんですよね。
そこはジブリ作品らしく、ある意味ファンタジー


今回強く思ったのは、アニメとしての限界です。
やっぱり実写にはかなわない。
震災のシーンは、人の声をを使ったという効果音のせいや描き方のせいもあって
あまりリアルではなくて、それが逆に恐ろしさが増したんですが、
木々の緑や空の青さなど、
これまでだな、と思わずにはいられませんでした。

ジブリ作品にしては、ファンタジーものではなく、
等身大の人とたちを描いた作品なわけで、
敢えてそこに挑戦したことは分かるけど、
実写の迫力には到底及ばないと感じてしまったのが、ほんとに残念でした。
今作でも、夢のシーンで、ぎゅうぎゅうに詰め込まれた人たちの笑顔だとか、
身を乗り出して帽子や紙飛行機を取ろうとする菜穂子の姿とか、
そういう、現実にはあり得ないシーンが印象に残るわけです。

なので、絵として印象に残るシーンは少ないのが残念です。

それに比べて、二郎と菜穂子の愛情物語は、一緒に涙してしまったくらい素敵でした。

声優陣もそれほど違和感もなく、
エンドロールに流れるユーミンの「ひこうき雲」もぴったりでしたね。

何度も言いますが、実写で観たかったな~。


あちこちで賛否分かれてます。
ずっと見せられ続けた4分間の予告編が良すぎて、期待値が上がった人が多いみたい。
まあ、その一人ではあるんですが、
もっとフラットな状態で観ることをお勧めしますね。