さよならドビュッシー
中山七里の同名ミステリー小説を「告白」「アナザー Another」の橋本愛主演で映画化。火事で全身に大やけどを負いながらも、ピアニストの夢を追い求めて懸命のリハビリを続けるヒロインの姿と彼女をめぐる謎めいた事件の真相を、美しいクラシック音楽のピアノ演奏とともに綴る。共演は人気ピアニストの清塚信也。監督は「クロエ」の利重剛。
ピアニストを夢見る香月遥は、両親を亡くしたいとこの片桐ルシアと姉妹のように育った。ある日、同じ音楽高校に通う2人を突然の悲劇が襲う。2人は祖父とともに火事に巻き込まれ、遥だけが奇跡的に一命を取り留める。しかし全身に大やけどを負った遥は、ルシアと交わした約束―プロのピアニストになってルシアのためにドビュッシーの『月の光』を弾く―を支えに、全身の移植手術と過酷なリハビリに耐えていく。やがて晴れて退院した遥は、司法試験をトップで合格しながらも音楽の道に進んだ天才ピアニスト岬洋介の指導の下、コンクールに向けて懸命のレッスンを重ねていく。そんな中、祖父の莫大な遺産をめぐって、遥の周りで不可解な出来事が立て続けに起こり始める。<allcinema>
2012年 上映時間:131分
秘めた思いは、「月の光」とともに溢れだす…
監督:利重剛 製作:二村慈哉 加藤直次 藤岡修 西川孝
エグゼクティブプロデューサー:川崎朗 柳田和久 本田武市 志摩敏樹
プロデューサー:林哲次 岡崎剛之
原作:中山七里 『さよならドビュッシー』(宝島社刊)
脚本:牧野圭祐 利重剛
音楽:小野川浩幸
主題歌:泉沙世子 『境界線』
製作統括:村瀬元一朗
出演:
●橋本愛 香月遥 ●清塚信也 岬洋介 ●ミッキー・カーチス 香月玄太郎
●柳憂怜 香月徹也 ●相築あきこ 香月悦子 ●山本剛史 香月研三
●清水紘治 鬼塚先生 ●熊谷真実 綴喜みち子 ●サエキけんぞう 加納 ●相楽樹 片桐ルシア ●戸田恵子 桃山校長 ●三ツ矢雄二 工藤先生 ●吉沢悠 新条医師
原作が面白かったこと、
もちろんピアノ弾きには逃せない一本なんですが、
だからこそ、どんな仕上がりなのか気になって、観たくないような…。
そんな作品でした。
でもまあ、ピアニストであり主人公ハルカの教師でもある岬洋介を演じたのが
本物のピアニストなので、演奏に関しては満足できるものでした。
ただし、原作ほど、ミステリーとしての仕上がりを目指してない気がしました。
ハルカが、なぜ「月の光」を演奏したかったのか。
すべてはそこに繋がるようになっていて、
ハルカに仕掛けられた罠や、ある真実に関しても、
それほどの衝撃を持つような演出はされていません。
原作では、全身火傷を負ったハルカのリハビリシーンは、
本当に壮絶だし、
学校やコンクールでの数々のいじめなど、
かなり執拗に描かれています。
そういう部分は省力していたので、
あっという間に、けがが治ったかのような錯覚をしてしまうかもしれませんね。
岬先生に関しても、彼自身の描写が少ない。
おまけに、ミステリーだったり、青春ものだったり、家族も話だったり、
この時間では要素が多すぎて集中できないことも事実です。
なので、やっぱり原作にはかなわないかも。
でも、映像化されることで良かったのは、やっぱり音があること。
個人的には、最後のコンクールのシーンだけで満足^^;
演奏することで浄化される…。
音楽の力って凄いなと、改めて感じたシーンです。
演奏中に、亡くなった人たちが周囲を取り囲む映像が、
とても印象的に見せてくれました。
それにしても、「アラベスク」と「月の光」
あまりに差がある演奏だなと思っていたら、
演奏者が違うんだ、仕方ないかもね^^;
「月の光」は清塚信也氏の演奏です。
清塚氏は、「のだめカンタービレ」で
千秋真一のピアノ演奏の吹替えなどをしているピアニスト。
たまにバラエティ番組でもお姿を拝見しますが(^^)
音がね、ほんとに澄んでいて優しくて、包み込まれれるようで、
映像とシンクロしていて素晴らしかったです。
BDの特典映像には、清塚氏の未公開演奏も入っているみたいで、
ぜひ観てみたい。
ミーハーな興味でございます^^;