8月の家族たち (2013)

イメージ 1
 トレイシー・レッツによるピューリッツァー賞トニー賞W受賞の傑作舞台を、メリル・ストリープジュリア・ロバーツユアン・マクレガーはじめ実力派豪華キャストの競演で映画化した群像コメディ・ドラマ。父親の突然の失踪をきっかけに、オクラホマの実家で久々に顔を揃えた母親と三姉妹が、互いに衝突しながら繰り広げる濃密な愛憎の行方を描く。監督はデビュー作「カンパニー・メン」で高い評価を受けた俊英ジョン・ウェルズ
 8月のある暑い日。父親が失踪したとの知らせに、滅多に顔を合わせない三姉妹がオクラホマの実家に集まる。長女のバーバラは反抗期の娘に手を焼き、夫との関係にも問題を抱えていた。自由奔放な三女カレンは怪しげな婚約者を同伴し、ひとり地元に残る次女アイビーはいまだに独身のまま。そんな娘たちを迎えた母バイオレットはガンで闘病中ながら、相変わらずの歯に衣着せぬ毒舌ぶりで、いつしか家族の間に不穏な空気が漂い始め…。<allcinema>
2013年 原題:AUGUST: OSAGE COUNTY 上映時間:121分 製作国:アメリ
愛しいからこそ 憎らしい
監督:ジョン・ウェルズ
製作:ジョージ・クルーニー グラント・ヘスロヴ ジーン・ドゥーマニアン スティーヴ・トラクスラー
原作戯曲:トレイシー・レッツ
脚本:トレイシー・レッツ
撮影:アドリアーノ・ゴールドマン
プロダクションデザイン:デヴィッド・グロップマン
音楽:グスターボ・サンタオラヤ
出演:
メリル・ストリープ/バイオレット
ジュリア・ロバーツ/バーバラ
ユアン・マクレガー/ビル
クリス・クーパー/チャールズ
アビゲイル・ブレスリンジー
ベネディクト・カンバーバッチ/リトル・チャールズ
ジュリエット・ルイス/カレン
マーゴ・マーティンデイル/マティ・フェイ
ダーモット・マローニー/スティー
ジュリアンヌ・ニコルソン/アイビー
サム・シェパード/ベバリー
ミスティ・アッパム/ジョナ

少し公開が遅れましたが、
劇場で観ることができてよかったです。

確かに、メリルは凄い女優さんです。
主演女優賞も納得の演技ですけど、今回はジュリア・ロバーツが良かったなあ。
というのが正直なところ。
もちろん、他にもたくさんの芸達者な俳優陣が勢ぞろい。
見応えあります。
でも、その中で我の強い母親と正面切って言い合う長女を演じたジュリア
プリティ・ウーマンの頃とは違って、ちゃんと年を重ねた女優さんでした。


問題を抱えた家族。
父親が自殺したことで、久しぶりにその家族が集います。
そうやって集まると、恨みや妬みが一気に噴き出し、
溜まっていたり押し殺していた感情が爆発するんですね。
感情をむき出しにして言い合う姿は、観ていて決して愉快ではありません。
口に出したらおしまい、ということは誰にだってあるはず。
それを全部吐き出してしまうんです。
結局、みんな傷つくんですよね。

そして最大の秘め事すら暴かれ、とうとう家族は離散してしまいます。

薬漬けに認知症が加わって全てにおいて制御できない母親。
夫は他人だとしても、娘たちに対しても辛らつなんですよね。
自分を見捨てた娘たちに対する恨みなんでしょうか。

別居中の長女。
男っ気がなかった次女に訪れた恋。
年の離れたフィアンセと帰って来た三女。

自分が生きていくのが精いっぱいで、両親のことなど考える余裕なし。
そんな娘たちは、一人になった母親にも優しい気持ちになれません。
そりゃ、あんな母親じゃあね。と肩を持ちたい気分になりました。

刺々しい家族の中で、叔父の息子を想う気持ちが暖かくて沁みるんですが、
実はそれには、叔父の痛みを伴う深い愛情があったんです。
それが分かった時に、すべてが繋がって納得させられました。

戯曲が原作のようですが、脚本の巧さを感じました。

ラスト。
長女が選らんだ道はどちらだったのか…。
個人的には母親のもとに戻った、と思いたいですね。