クロワッサンで朝食を

 本作が長編映画初監督となるエストニアの俊英イルマル・ラーグが、母親の実話をもとに描く感動のヒューマンドラマ。フランスが誇る大女優ジャンヌ・モローが主演を果たし、作品は2010年ロカルノ国際映画祭のエキュメニカル賞に輝いた。生まれも育ちもまったく異なる二人の女性が、反発しながらも固い絆で結ばれていく過程をリアルに描いていく。
憧れのパリで家政婦の仕事をすることになったアンヌ。母を看取ったばかりのアンヌはエストニアを発つが、彼女を待ち受けていたのは毒舌で気むずかしい老婦人フリーダだった。高級アパルトマンに一人で暮らすフリーダは、おいしいクロワッサンの買い方すら知らないアンヌを追い返そうとするが、アンヌの中にかつての自分を重ねるようになり…。<allcinema>

2012年 原題:UNE ESTONIENNE A PARIS 製作国:フランス/エストニア/ベルギー
はじめてのパリ、もうひとつの 人生に出逢う
監督:イルマル・ラーグ
イメージ 1製作:ミレーナ・ポワロ ジル・サクト リーナ・シルドス
脚本:イルマル・ラーグ アニエス・フォーヴル リーズ・マシュブフ
撮影:ロラン・ブリュネ
美術:パスカル・コンシニ
音楽:デズ・モナ
出演:
ジャンヌ・モロー/フリーダ
ライネ・マギ/アンヌ
パトリック・ピノー/ステファン
フランソワ・ブークラー/モーリス
フレデリック・エポー/ドミニク(ギャルソン)
ヘレ・クニンガス/リディア

良く内容を確認せず、リストインしていたので、
観始めてクロワッサンはどこ?と思ってしまいました。

邦題からして、もっとクロワッサンが重要なアイテムなのかと思っていたら、
原題にはクロワッサンなんて一言もありません^^;

エストニアに住むアンヌは、母親を看取った後、パリで家政婦として働くことに。
ところが、家政婦として働く相手は、気難しい老婦人のフリーダ。
このフリーダ、エストニア人だと聞いていたのにフランス語を話すし、
朝食はクロワッサンと紅茶というので出してみれば食べないし、
家政婦はいらないと言って追い出されるし、
と、絵にかいたような気難しい女性でした。

なぜそうなってしまったのか。
彼女から過去が語られますけど、長く生きているということは、
それだけでいろんなものを背負っていくんだと、実感させられます。

それともう一つは、エストニアとフランスの関係。
移民という歴史的背景は勉強不足なんですけど、
その辺りが分かると、もっとフリーダの気持ちが分かったかもしれません。
それでも、フランスで生きようとした凛とした姿は感じとれます。

この年になっても女の部分が残っていて、きわどい会話があちこち。
何といっても年下の元彼の存在。
え~?親子じゃないんだ~って思うくらいなんだけど、
別れた相手に、会いに来てくれないって拗ねてみたり、
添い寝するように言ってみたり…。
フランス映画だな~って思いました。

そういうフリーダがアンヌを受け入れる。
同郷ということだけではなく、アンヌの人柄や思いやりに、
わがままな老人を受け入れてくれる人として認めた、というのでしょうか。

アンヌが夜のパリを散歩したり、
最後に夜明けのエッフェル塔が綺麗だったり、
アンヌと一緒に、観光している気分にさせてくれる作品でした。