ラヴレース

 全米に衝撃をもたらした伝説のポルノ映画「ディープ・スロート」に主演し一躍時の人となったポルノ女優リンダ・ラヴレースの悲劇的な人生を、「マンマ・ミーア!」「クロエ」のアマンダ・セイフライド主演で映画化した伝記ドラマ。共演はピーター・サースガードハンク・アザリアシャロン・ストーンジェームズ・フランコ。監督は「セルロイド・クローゼット」のロブ・エプスタイン&ジェフリー・フリードマン
 1970年。厳格なカトリック教徒の家に育った21歳のリンダ・ボアマン。厳しい両親に反発を感じていた彼女は、バーを経営するチャック・トレイナーと出会い、たちまち恋に落ちる。すぐに結婚したリンダは、チャックの手ほどきで性の快楽に目覚めるとともに、様々な夜のテクニックを仕込まれていく。しかし最初こそ優しかったチャックだったが、次第に強権的で暴力的な本性が露わに。やがて経済的に苦しくなったチャックは、リンダをポルノ映画に出演させることを思いつく。チャックに命じられるまま出演した映画「ディープ・スロート」は、彼女が披露した“秘技”がセンセーションを巻き起こし、空前の大ヒットを記録、一夜にしてトップスターとなるリンダだったが…。<allcinema>

2012年 原題:LOVELACE 上映時間:93分 製作国:アメリ
私をスターにした、最悪で華麗な17日間
イメージ 1       監督:ロブ・エプスタイン ジェフリー・フリードマン
製作:ハイディ・ジョー・マーケル ローラ・リスター ジェイソン・ワインバーグ ジム・ヤング
脚本:アンディ・ベリン
プロダクションデザイン:ウィリアム・アーノルド
音楽:スティーヴン・トラスク
出演:
アマンダ・セイフライド/リンダ・ラヴレース
ピーター・サースガード/チャック・トレイナー
ハンク・アザリアジェラルド・ダミアーノ
アダム・ブロディ/ハリー・リームス
ボビー・カナヴェイル/ブッチ・ペライーノ
ジェームズ・フランコヒュー・ヘフナー
デビ・メイザー/ドリー
クリス・ノース/アンソニーロマーノ
クロエ・セヴィニーレベッカ
シャロン・ストーン/ドロシー・ボアマン
ジュノー・テンプル/パッツィ
リンダ・ラヴレースという女優さんも、彼女が出たポルノ映画も知りません。

まだDVなんて認識されていなかった時代。
たとえそういう言葉がなくても、暴力を振るう男はいたわけで、それによって泣くのは女。
というのは観終わって思うことで、
実は若い女性が、厳しい母親に反抗して出逢ったばかりの男と結婚。
ちょっと胡散臭い男だぞ、と思った時には遅く、
夫の口車に乗ってポルノ映画に出演し、人気女優になって、
そして転落する人生を描いた作品かと思って観ていました。

ところが、この作品、時系列がちょっとユニーク。
最初はポルノ映画とはいえ、ヒットして人気女優の仲間入りしたリンダを描き、
その後、再度同じ時間を、
今度は夫の暴力によって売春やポルノ映画に出演させられた、
という悲劇を描きだすようになっています。

若気の至りというには、余りにも支払った代償は大きい。
リンダの母親は、自分の過去の過ちから娘を厳しく躾けていたけれど、
若いリンダにはそれが鬱陶しいだけ。
バーを経営しているというチャックは、冷静に見れば
娘の結婚相手として相応しいか判断できそうな感じなんだけど、
それでも出ていくんだ、結婚するんだと、ちょっと呆れてしまいました。

夫に尽くせと理由も聞かずに娘を追い出すシーンや、
その結果ポルノ映画に出たり、暴力を振るわれたり、
自叙伝として本を発表し、そのインタビューTV番組を見て泣く母親の姿は、
胸が痛かったです。

ただし、この作品のメインは、
DVやポルノ映画はダメだ、ということにあって、
リンダが自分で選んだ人生について、それを若気の至りとか未熟だったとか、
そういう風に振り替えることはありません。
…というか、そうは思ってないのかな…?

個人的には、最後に、家族で実家を訪れたリンダと母親の抱擁シーンで
救われた気分になりました。

リンダを演じたアマンダ・セイフライトの体当たりの演技は素晴らしい。
全然エロチックじゃなくて、健康的な裸体という感じ^^;
そして驚いたのは、母親を演じたのがシャロン・ストーンだということ。
全く分かりませんでした…。