ルーム (2015)

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 エマ・ドナヒューのベストセラー『部屋』を「ショート・ターム」のブリー・ラーソン主演で映画化した衝撃と感動のサスペンス・ドラマ。7年間もひとつの部屋に監禁されているヒロインと、その間に生まれ、部屋の中しか知らない5歳の息子が辿る予測不能の運命を描く。監督は「FRANK -フランク-」のレニー・アブラハムソン。
 5歳の誕生日を迎えたジャックは、狭い部屋に母親と2人で暮らしていた。外の景色は天窓から見える空だけ。母親からは部屋の外には何もないと教えられ、部屋の中が世界の全てだと信じていた。2人はある男によってこの部屋に監禁されていたのだった。しかし母親は真実を明かす決断をし、部屋の外には本物の広い世界があるのだとジャックに教える。そしてここから脱出するために、ついに行動を開始するのだったが…。<allcinema>

2015年 原題:ROOM 上映時間:118分 製作国:アメリ
はじめまして、【世界】。
監督:レニー・アブラハムソン
原作:エマ・ドナヒュー 『部屋』(講談社刊)
脚本:エマ・ドナヒュー
音楽:スティーヴン・レニックス
出演:
ブリー・ラーソン  ママ/ジョイ
ジェイコブ・トレンブレイ  ジャック
ジョーン・アレン  ばあば/ナンシー
ショーン・ブリジャース  オールド・ニック
ウィリアム・H・メイシー  じいじ/ロバート
トム・マッカムス  レオ
アマンダ・ブルジェル  パーカー巡査
キャス・アンヴァー ミッタル医師
ある程度の知識を持って鑑賞しましたが、これはなかなかの作品でした。

そこに閉じ込められている、とわかっているから違和感はないけど、
そうでなかったら何が起こっているのかわからないカメラワーク。
狭い空間、窮屈な空間は一部屋のよう。
大人と子供の二人暮らしは、どうやら親子みたい。

進むにつれて少しずつ状況が把握できていくという、静かな流れです。
少しずつ明らかになっていく、というのがうまい展開で、飽きずに観られました。

現状の中で必死に生きる。
そして脱出してめでたしめでたし。
という部分にとどまらず、今作の良さは、その後にありました。

脱出するにはいろんな偶然も重なっていたけど、女性警察官の存在は大きかったですね。
ちゃんとジャックの話を聞いて、何かが起きていると察知して行動したわけだし…。

脱出してからの話は、もっとリアルでした。
家族の関係は良く描かれていたと思います。
娘が帰って来たことに喜ぶ母親。
その娘が子供を産んでいたことに戸惑い、困惑する父親。
そして、母親の現在のパートナーは、両親とは違う立場で、客観的に接するんですよね。
それが功を奏して、ジャックも心を許せるようになっていくし、
結果、ジョイにも良かったんだと思いました。

確かにしっかりとした演技でしたけど、
やはり今作ではジャックを演じたジェイコブ君が素晴らしい。
子どものセンスというのは計り知れませんね。

世界を知らないジャックが、ルームを出て世界を知り、
そして自分たちが暮らしたルームをまた見たいと言う。
もしかして、やっぱり現実社会になじまないのかなと危惧したけど、
そうではなくて、本当に世界で暮らすための決別の儀式だったんでしょうね。
ルームを後にする親子に、静かな平和を願わずにはいられませんでした。