蜩ノ記(ひぐらしのき)

 「雨あがる」「博士の愛した数式」の小泉堯史監督が、葉室麟の第146回直木賞受賞の同名時代小説を映画化。大罪を犯し10年後の切腹を命じられ幽閉中の元郡奉行を主人公に、その監視役を務めることになった若侍が次第に事件の真相に近づいていくさまと主人公の崇高な生き様を静謐に綴る。主演は役所広司、共演に岡田准一堀北真希原田美枝子
 ある日、城内で刃傷沙汰を起こした檀野庄三郎は、家老の中根兵右衛門によって罪を免じられ、代わりに幽閉中の戸田秋谷を監視せよと命じられる。秋谷はかつて、郡奉行の身でありながら側室と不義密通した上、小姓まで斬り捨てるという前代未聞の事件を起こし、10年後の切腹とそれまでの間、藩の歴史である“家譜”の編纂に従事せよと命じられていた。いま、その切腹の日は3年後にまで迫っていた。こうして秋谷やその家族と一緒に暮らし始めた庄三郎は、ひたむきに淡々と家譜づくりに勤しむ秋谷の姿にいつしか感銘を覚え始める。やがて7年前の事件に疑問を抱き、監視の立場を超えて真相を探り始める庄三郎だったが…。<allcinema>

2013年 上映時間:129分
夫として、父として、師として――。
愛に溢れ、信義を貫いた美しき人生。

監督:小泉堯史
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原作:葉室麟蜩ノ記』(祥伝社刊)
脚本:小泉堯史 古田求
音楽:加古隆
出演:
役所広司/戸田秋谷
岡田准一/檀野庄三郎
堀北真希/戸田薫
原田美枝子/戸田織江
青木崇高/水上信吾
寺島しのぶ/松吟尼(お由の方)
三船史郎/大殿・兼道
井川比佐志/慶仙和尚
串田和美/中根兵右衛門
役所広司岡田准一の出る時代劇。
それだけで安定感がありました。

場内で刃傷沙汰を起こした檀野が、
10年後に切腹を命ぜられている秋谷を監視する役を仰せつかり、その二人の交流から、秋谷の事件の真相が語られていくお話。

秋谷には、家譜の編纂という仕事があって、
そこにあるお城の内情が暴かれたり、
檀野と秋谷家族の絆が生まれたりと、
特にサプライズがあるわけではなく、淡々と描かれていきます。

でも、そこに演じる役者の力があったり、
景色の美しさがあったりして、観て心地よい感動がある作品でした。

お家を、愛した女性を、そして家族を守り通す一人の武士。
かっこ良過ぎ。
切腹するための歩く後姿のなんと潔いことか。

その支度をする妻の凛とした姿。
ただただ美しい。

こういう時代劇は、ずっと作り続けていってほしい。
忘れてはいけない日本人の姿だと思います。
そんなことを感じました。