白夜行

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1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺された。容疑者は次々に浮かぶが、結局、事件は迷宮入りする。被害者の息子・桐原亮司と、「容疑者」の娘・西本雪穂―暗い眼をした少年と、並外れて美しい少女は、その後、全く別々の道を歩んで行く。二人の周囲に見え隠れする、幾つもの恐るべき犯罪。だが、何も「証拠」はない。そして十九年…。息詰まる精緻な構成と、叙事詩的スケール。心を失った人間の悲劇を描く、傑作ミステリー長篇

普通なら、上・下巻と分かれそうな厚さです。
なので、読んでみたいと思いつつも、手を出せずに見てるだけでしたが、
叔父の家で見つけて、借りて帰ってきました。

どこで一つになるんだろう…。
読んでも読んでも、ただずっと伏線が続いているような気がしてました。
ところがあるところで、伏線じゃないぞ!と感じる時がありました。

ちゃんと主人公が描かれていました。
少女が成長していく過程があって、その過程にも少女の人格が
明確に描かれていたのです。

小学生の頃の体験から、少女は普通の人間の感情を置き去りにして成長していきます。
それがどんどん不幸へ繋がっていくのですが、
それは本人の不幸というより、少女の周囲の人間を不幸に導いていくことになります。

その行為が、少女の復讐だったのか、生きる力だったのか。

私には、生きる力だったように感じました。

そして少女を愛した少年。
こちらは、見え隠れしながらになるのですが、
少女の陰で生きることを選らんだのだとしたら、やはり不幸です。

もっと普通に愛し合えたら。
直接話したり、触れたりして愛情を確かめ合えたら。

そんな関係だったら、人生を恨んで生きなくて良かったのに。

憎むことではなく、愛することを教えてあげられれば。

そんな悲しい少女と少年の話です。

長い長い物語です。

でも、途中で投げ出したくなる内容ではありません。
結末を知りたくて読み終えてしまう、そんな作品です。

ハッピーエンドがお好きな方には、お勧めしません。