魔王 伊坂幸太郎

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魔王とは何者なのか?魔王はどこにいるのか?
世の中の流れに立ち向かおうとした兄弟の物語。

会社員の安藤は弟の潤也と2人で暮らしていた。自分が念じれば、それを相手が必ず口に出すことに偶然気がついた安藤は、その能力を携えて、1人の男に近づいていった。5年後の潤也の姿を描いた「呼吸」とともに綴られる、何気ない日常生活に流されることの危うさ。新たなる小説の可能性を追求した物語。

魔王 / 伊坂幸太郎
講談社文庫



7月の1冊は【魔王】
書店でお勧めの表示が出ていたので、選んでみました。


『偉そうに座ってんじゃねぞ、てめえは王様かっつうの。ばーか』
主人公の安藤は、会社からの帰りに乗ったJRで、
乗り込んできた老人が席に座れずに、若者の前に立っている姿を見ていた。
もし自分があの老人だったら、どんな言葉をぶつけているか…。

不思議な能力を持った安藤が、
巷で評判のカリスマ政治家“犬養”に危険を感じ、その力で何とかできないかと思う。

ここで描かれているのはフィクションなんだけれど、
限りなく現実に近い世界なので、錯覚してしまいそうになります。

兄の視点で描かれた「魔王」と、弟の視点で描かれた5年後の「呼吸」。
いろんな能力を持った人たちが、描かれています。


ファシズムとか憲法改正とか、ちょっと堅苦しい言葉もありますが、
現代に近い世界で、若い男女が必死で考える姿は好感が持てます。

果たして「魔王」とは。
答えは出ていません。

読んだ人がそれぞれに考えることなのでしょう。