告白

告白 文庫版
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著者:湊かなえ
出版社:双葉文庫
 
 
 
「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。衝撃的なラストを巡り物議を醸した、デビュー作にして、第6回本屋大賞受賞のベストセラーが遂に文庫化!“特別収録”中島哲也監督インタビュー『「告白」映画化によせて』。
 
 
 
 
映画化もされた有名なこの作品。
友人が貸してくれたので、今回読むことに。
映画も未見なので、初めての体験でした。
 
とても珍しい書き方をしています。
一人称のモノローグ形式、というのでしょうか。
登場人物が、自分の思いを語る、という形式です。
 
話し言葉なのでとても読みやすいし、
次が気になるように、とても巧い展開だと思います。
 
内容としては…。
中学生が起こした殺人事件を中心に、それに関わった人たちの気持ちが綴られていきます。
 
娘を殺された中学校教諭
そのクラスの女子生徒
犯人の母親
犯人の男子生徒
もう一人の犯人の男子生徒
そして最後にもう一度中学校教諭
 
自分たちの事情、感情を語ることで、何が起きたかを多面的に表現していきます。

読み手の、それぞれの立場で感情移入できるかもしれません。
 
こんな同級生がいたら…?
こんな同僚の先生がいたら…?
こんな息子、娘を持ったら…?
こんな家族がそばにいたら…?

もっとやるせない気持ちになるのかと思っていたけど、
それほどダークな話ではなく、どこか現実離れした気がしました。
あ、もちろん、こんなことが現実だったら怖いですけど。

特別収録で、映画【告白】の中島哲也監督インタビューが掲載されていますが、
全編モノローグで構成されていますから、一見、全員が自分の真情を吐露しているように見えます。
しかし、彼らが真実を話しているという保証なんてどこにもない

という言葉に、どきりとしました。
 
誇張したり隠したりってあるかもしれない。
そこに客観的な事実は一切書かれていないのです。
ここに書いてあることが、この事件の全てではないと思った時、
だから、変に感情移入しないで読めたのかもしれない、と思いました。
これはやはりすごい小説です。