おやすみラフマニノフ
秋の演奏会を控え、第一ヴァイオリンの主席奏者である音大生の晶は初音とともに、プロへの切符をつかむために練習に励む。しかし完全密室で保管される、時価2億円のチェロ、ストラディバリウスが盗まれた。彼らの身にも不可解な事件が次々と起こり……。ラフマニノフの名曲とともに明かされる驚愕の真実！美しい音楽描写と緻密なトリックが奇跡的に融合した人気の音楽ミステリー。
おやすみラフマニノフ 文庫版著者：中山七里
前作同様、最終的に事件を解決するのは“天才ピアニスト”の岬洋介。
シリーズ化されてるのかな…？
音大で名器の盗難事件を発端に、不可解な事件が起こって行きます。
その犯人の意図するところは何なのか…。
主人公は、ヴァイオリン科の学生。
もう少しで卒業なのに、授業料が払えずに困っている、
実力はそこそこだけど、人のいい苦学生の晶。
そして、晶をサポートするのは
彼がコンマスに選ばれた学生オケを指揮することになった岬先生。
音楽なんだけどスポ根みたいな描かれ方をしているのは、前作と同じ。
そうそう、音楽って見た目は優雅だけど、実はとってもハードなんだぞ、と教えてくれます。
その上、演奏する曲の解説や演奏法など、その世界にいる人が読んでも納得できる文章。
才能が物を言う世界であがく学生たちの姿が、昔を思い出して胸がチクチク痛みますが、
それすらも面白く読ませる文章力は素晴らしい。
読みやすい文章と、人物の表現力と、読んでて飽きません。
果たして犯人の目的は何なのか。
今回は前作より悲しみが溢れる結末です。
